書誌事項
- タイトル別名
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- Seasonal behavioral change and nest-site fidelity of the Eurasian Tree Sparrow during winter in a residential area in Northern Japan
- トウキ ニ オケル スズメ ノ ジュウタクチ リヨウ ト エイソウ バショ エ ノ シュウチャク
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説明
都市の生物多様性に対する関心は高まってきており,都市化を測る生き物として,鳥類はしばしば注目される.鳥類が都市の中のある場所において,どこをどのように使っているかという情報は,都市における生物多様性の創出や維持管理のために役立つだろう.都市には多様な環境が含まれており,特に小鳥類にとっては,数m離れた場所は,別の環境を意味することがあると考えられる.しかしながら,都市環境でそういった小さいスケールで特定の鳥類の環境利用を調べた研究例はほとんどない.そこで本研究では,岩手県内の住宅地において,冬期のスズメを対象に,住宅地にどのくらいいて,どのような場所を利用しているのかを調査した.特にスズメがなぜその環境を選んだか,に関わる要因として,季節性と営巣場所に着目した.群れの観察は2012年10月から2013年4月にかけて,営巣場所の探索は2012年と2013年の繁殖期に行った.厳冬期には,スズメの個体数が減り,群れは大きくなった.これはシーズンの進行がスズメの行動に影響することを示している.冬期のスズメの群れは,大部分が古巣または新巣から半径40 m以内でみられた.これは古巣をねぐらとして利用していることと,古巣の近くにまた翌年の巣をつくることが多いことから,スズメが営巣場所周辺に強い執着を持っているものと考えられる.また,餌がとれそうな未舗装の場所をよく利用していた.ただし,地形や構造物など他の要因もかかわっている可能性があり,採餌場所の選択については今後,検証が必要だと思われる.営巣場所への執着が強いことは間違いないと考えられるため,衛生や管理上の目的で,スズメが高頻度に利用する場所をコントロールしたいとき,巣箱の設置が有効である可能性がある.
収録刊行物
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- 日本鳥学会誌
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日本鳥学会誌 64 (2), 227-236, 2015
日本鳥学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204481921152
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- NII論文ID
- 130005129924
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- NII書誌ID
- AN10314294
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- ISSN
- 18819710
- 0913400X
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- NDL書誌ID
- 026914279
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- CiNii Articles
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可