非行少年の自傷行為の経験率とその心理的機能

書誌事項

タイトル別名
  • Prevalence and Psychological Functions of Self-injury among Juvenile Delinquents
  • ヒコウ ショウネン ノ ジショウ コウイ ノ ケイケンリツ ト ソノ シンリテキ キノウ

この論文をさがす

抄録

本研究の目的は,非行少年の自傷行為の経験率,その心理的機能,他の臨床的特徴について調べることである。少年鑑別所に入所した294名(男子204名,女子90名)の非行少年に対して質問紙調査を実施したところ,調査対象者の約3分の2が,少なくとも一度の自傷行為に及んだことがあると報告し,生涯経験率は「切る」で28.6%,「燃やす」で28.6%,「殴る」で33.3%,「抜く」で19.7%,「噛む / 引っかく」で49.7%であった。女子は男子よりも「切る」経験を有意に多く報告していた(女子52.2%,男子18.1%)が,他の方法では性差は認められなかった。また,非自傷群に比して自傷群のほうが,自殺企図歴,違法薬物使用歴,過食歴の比率が高く,抑うつ,解離傾向も高かった。自傷行為の機能に関する探索的因子分析の結果,感情調整,顕示,自他の境界/解離への抵抗,承認希求,自罰の5因子が見いだされた。自傷行為の頻度や性差の観点から自傷行為の査定と治療に関する臨床的な示唆について議論した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ