生体表面における濡れ現象のダイナミクス

書誌事項

タイトル別名
  • Wetting Dynamics on Biological Surfaces
  • 2013年オレオマテリアル賞 生体表面における濡れ現象のダイナミクス
  • 2013ネン オレオマテリアルショウ セイタイ ヒョウメン ニ オケル ヌレ ゲンショウ ノ ダイナミクス

この論文をさがす

抄録

<p>生体表面では,ワックスで被覆された超凸凹表面における超撥水現象や,霧の中の水の凝縮現象,表面張力勾配を利用した滑らかな水滴移動など,興味深い界面現象が起こっている。なかでも舌や小腸など粘膜で覆われた凸凹な臓器表面では,味物質の知覚や栄養吸収に影響を及ぼす,特徴的な界面現象が起こっているものと推察される。しかし,これらの表面で起こる濡れ現象は直接観察することが難しいため,これまでにほとんど研究されてこなかった。われわれは,アルキルケテンダイマーという油脂が形成する階層性凸凹構造を表面に転写したフラクタル寒天ゲルを開発し,その表面における濡れ現象を高速観察した。 その結果,表面の凸凹によって濡れ速度が顕著に速くなること,先行膜と呼ばれる薄膜が液滴の三相接触線付近に現れることを確認した。さらに,水に1-プロパノールなどのアルコールを加えるとマランゴーニ対流による濡れの促進現象が,コロイド粒子や油滴が分散したディスパージョンやエマルションでは粒子の集積により抑制現象が起こることを見出した。このように,生体の特性を模倣したバイオミメティック材料を用いることで,直接観察することの難しい界面現象を垣間見,濡れダイナミクスを支配する法則を提案することに成功した。これらの知見は機能性食品や医薬品,化粧品の評価と開発に有用であろう。</p>

収録刊行物

  • Oleoscience

    Oleoscience 14 (4), 149-156, 2014

    公益社団法人 日本油化学会

参考文献 (27)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ