医療倫理に関する研究行為の倫理性について : 合意形成論の観点から

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タイトル別名
  • The morality of research in medical ethics from the viewpoint of consensus building

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抄録

従来の医療にかかわる倫理学的研究は、客観的・普遍的な学問性の追究を第一とし、具体的な問題解決に貢献することを重視してこなかったのではないか。あるいは、むしろ、一般原則の研究への専念が問題の個別状況との乖離を引き起こし、そのために、複雑な現実の間で意思決定者がジレンマに陥ってしまう要因となってきたのではないか。本論文は、こうした疑問にもとづき、倫理の問題を倫理原則の一般的研究やその解釈、さらに、そのような研究成果の紹介・導入という形で行われきた研究方法の方向を具体的な問題解決のための手続きの研究へと転換することをめざす。すなわち、多様な主体間の意見の対立を克服する方法としての合意形成論の視点から倫理研究の目指すべき方向を考察する。本論文の結論は、人を対象とした医療行為にかかわる倫理研究に要請される条件は(1)行為原則の一般性の考察 (2)行為の状況の特殊性への配慮 (3)研究者の当事者性の自覚 の三つの要素から捉えることができるということである。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 19 (1), 21-28, 2009

    日本生命倫理学会

参考文献 (20)*注記

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