<b>医療経済評価における確率感度分析の手法とその利用状況の調査 </b>

DOI 被引用文献1件 参考文献6件 オープンアクセス
  • 荒西 利彦
    国際医療福祉大学大学院薬学研究科 中外製薬株式会社プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット調査部 HTA グループ
  • 池田 俊也
    国際医療福祉大学大学院薬学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • <b>Introduction and Assessment of Usage of Probabilistic Sensitivity Analysis in Health Economic Evaluation </b>

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説明

医療経済評価の結果はパラメータの不確実性の影響を大きく受けることから,感度分析による医療経済評価の頑健性の分析が重要となる.複数のパラメータの不確実性を同時に評価するため,それらのパラメータが従う同時分布に基づき評価を行うことを確率的感度分析 (PSA; Probabilistic Sensitivity Analysis) と呼び,今日では各国のガイドラインで使用が推奨されている.本稿では,PSA の手法としてモンテカルロシミュレーションとブートストラップ法を紹介し,また PSA の結果の解釈について説明を行い,各国ガイドラインにおける PSA に関する記述をまとめた.その後 PSA の本邦での利用状況を,邦文にて論文が出版された研究のレビューにより示した.各国ガイドラインでの PSA の扱いは,2008年までに出版されたガイドラインにおいては感度分析を行うことは推奨されていたものの,方法については任意であった.2011年以降に出版されたフランス,米国AMCP,イギリスのガイドラインでは,いずれも PSA を推奨している.日本においては 2013年に発行された医療経済評価研究における分析手法に関するガイドラインで PSA について「可能であれば確率的感度分析もあわせておこなうこと」,とされている.邦文での医療経済評価研究のレビューを行った結果,質調整生存年に基づく医療経済評価を行った 49件のうちで PSA を行った研究は 6件(12.2%) にとどまることから,PSA が国内で広く使われているとは言いがたい.一方で PSA でない感度分析を行った研究は 35件(71.4%) あることから,感度分析自体は多くの研究で用いられている.よって PSA が感度分析のよりよい方法論として受け入れられるようになれば,利用は促進されると考えら れる.このためには PSA を行うためのガイドラインなどの作成が望ましい.

収録刊行物

  • 薬剤疫学

    薬剤疫学 19 (2), 91-99, 2015

    一般社団法人 日本薬剤疫学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (6)*注記

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