生体内フリーラジカルの制御を目指した金属ポルフィリンの構築

  • 川上 浩良
    Depaitment of Applied Chemistry, Tokyo Metropolitan University Hachioji Tokyo

書誌事項

タイトル別名
  • Control of reactive oxygen species by water-soluble cationic metalloporphyrin
  • セイタイナイ フリーラジカル ノ セイギョ オ メザシタ キンゾク ポルフィリン ノ コウチク

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抄録

生体内で生成されるフリーラジカル (O2・-, H2O2, ・OH, NO, ONOO-) は、炎症疾患、神経疾患、動脈硬化、癌、糖尿病、虚血再灌流障害など多くの病態に関与することが指摘されている。また、現在の細胞生物学での最大のテーマである細胞死にもフリーラジカルのレドックス (酸化還元) 反応が深く関与していることが明らかになっている。 これら生体内で生成する複雑なフリーラジカル反応による細胞・組織・臓器障害を防ぐには、多様なラジカル種 (O2・-, H2O2,.OH, NO, ONOO-) を迅速かつ階層別に消去 (還元) する新しい抗酸化剤を分子レベルから設計しラジカル発生部位に輸送するシステムを構築する必要がある。<BR>一方、細胞死、特にアポトーシスをフリーラジカルにより誘導できることも明らかにされている。もしSOD活性を有する抗酸化剤を癌細胞内に導入、癌細胞内のO2をH2O2へ変換できれば、H2O2を介した新しい細胞死の誘導が可能と考えられる。<BR>我々はカチオン性金属ポルフィリン錯体が良好なSOD活性を示すことを報告してきたが、さらに癌細胞内O2・-をSODミメティック金属ポルフィリンによりH2O2へ還元することにより新しい抗癌剤の設計も可能であることを提案してきた。本稿では、生体内フリーラジカルを制御する金属ポフィリンによる新しい抗酸化剤、抗癌剤の可能性について紹介する。

収録刊行物

  • Oleoscience

    Oleoscience 1 (2), 157-165,226, 2001

    公益社団法人 日本油化学会

被引用文献 (11)*注記

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参考文献 (36)*注記

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