離断して誤飲されたブリッジの連結4歯を胃内視鏡下に摘出した重症心身障害者の1例

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  • Accidental Ingestion of a 4-Unit-Bridge Removed by Gastroscopy in a Patient with Severe Motor and Intellectual Disabilities:A Case Report

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離断脱離したブリッジの連結4歯を誤飲した重症心身障害者を経験した.<br>患者は58歳の男性で,脳性麻痺と精神遅滞があり,F療育センター入所中であった.歯科治療はH療育センターで受け,口腔内診査はF療育センターで受けていた.2013年5月の口腔内診査で,上顎の9歯連結ブリッジに動揺が指摘されていた.2013年7月,昼食後スタッフが口腔ケア時に,上顎ブリッジの一部が離断し,紛失していることに気付いた.胸腹部の単純エックス線検査で胃内に不透過像を確認し,ブリッジ誤飲と考え,静脈麻酔下内視鏡的摘出術を予定した.内視鏡視で胃体部の食物残渣を吸引すると離断脱離したブリッジを認め,誤飲と診断した.摘出時の消化管損傷を避けるために回収ネットとフードを装着して内視鏡を再挿入し,ブリッジを無事摘出した.処置中,著変はなかった.摘出されたブリッジは上顎右側第一小臼歯から第二大臼歯までの4歯部分のもので,長さ35mmであり,小臼歯部に長さ約2.5mm露出したスクリューポストが付いていた.<br>異物誤飲については,異常を伝えることのできない障害者では診断が困難な場合がある.本症例ではスタッフが口腔ケア時にブリッジ紛失を発見し,早期の誤飲診断と摘出をすることができた.チーム医療で行う定期的な口腔ケアで誤飲を発見,予防することが重要である.

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