意思決定理論を適用した役割固定法が社会不安に及ぼす影響

  • 阿部 ひと美
    早稲田大学大学院人間科学研究科・日本学術振興会
  • 今井 正司
    早稲田大学重点領域研究機構応用脳科学研究所・早稲田大学研究院
  • 根建 金男
    早稲田大学人間科学学術院

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Fixed-Role Therapy Applying Decision-Making Theory on Social Anxiety
  • イシ ケッテイ リロン オ テキヨウ シタ ヤクワリ コテイホウ ガ シャカイ フアン ニ オヨボス エイキョウ

この論文をさがす

抄録

役割固定法(fixed-role therapy: FRT; Kelly, 1955)は,構成主義的な理論のひとつであるパーソナル・コンストラクト理論(personal construct theory: PCT)に基づいた心理的介入技法である。本研究では,演じる役割を決定する手続きに実験参加者の意思決定を取り入れるという改良を加えたFRTを開発し,その社会不安に対する効果を実証的に検討することを目的とした。実験参加者は,社会不安傾向が高い大学生であり,改良型FRT群(11名),従来の標準的な手続きにのっとった標準型FRT群(10名),統制群(11名)に割り振られ,2週間にわたる実験に参加した。その結果,改良型FRT群,標準型FRT群では,統制群と比較して社会不安が有意に低減した。また,改良型FRT群では,標準型FRT群と比較して,社会不安が有意に低減する傾向が示された。さらに,PCTに基づいたアセスメント法であるレパートリー・グリッド法を用いた評定の結果,改良型FRT群では,標準型FRT群よりすぐれた効果が示された。したがって,改良型FRTはすぐれた社会不安低減効果を有することが示唆された。

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ