食事飽和脂肪酸・コレステロールと動脈硬化― 最近の考え方

書誌事項

タイトル別名
  • Current Concepts in Dietary Saturated Fatty Acids/Cholesterol and Atherosclerosis
  • ショクジ ホウワ シボウサン ・ コレステロール ト ドウミャク コウカ : サイキン ノ カンガエカタ

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説明

動脈硬化性疾患はわが国における主要死因の一つである。修飾可能な環境因子,とくに食事や生活スタイルが動脈硬化性疾患の発症に大いに関係しているが,個々の食事要因の役割が最近,ようやく明らかになりつつある段階である。前向き疫学研究のメタ解析によって,食事飽和脂肪酸が冠疾患や心血管疾患のリスク増加に関与すると結論できるだけの明白なエビデンスがないことが示されている。これは動脈硬化症のリスクが飽和脂肪酸を置き換えるために使われた他の栄養素に影響を受けることを意味している。飽和脂肪酸の代わりに多価不飽和脂肪酸を摂ると冠疾患が減少し,飽和脂肪酸を炭水化物で置き換えると冠疾患リスクが高まることが示されている。しかし,ある研究で飽和脂肪酸を低GI値の炭水化物で置き換えると冠疾患のリスクは低下することが示唆されている。血清LDLの増加のみならず,HDLの低下やしばしば小型高密度LDLの増加を伴うトリグリセライドの増加は動脈硬化の進展を加速させることが知られる。飽和脂肪酸や飽和脂肪酸を置き換えるために使われる他の栄養素の脂質代謝への影響を理解することは重要である。多くの研究で鶏卵摂取と冠疾患・脳卒中との間に有意な相関は認められていない。しかし,臨床研究でコレステロール吸収を低下させることにより,心血管リスクを減少させることが報告されている。適正なコレステロール摂取についてさらなる研究が必要である。

収録刊行物

  • Oleoscience

    Oleoscience 12 (3), 99-105, 2012

    公益社団法人 日本油化学会

参考文献 (13)*注記

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