広汎性発達障害児者の歯科受診適応性評価の試み

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  • An Attempt to Evaluate the Dental Treatment Adaptability of Patients with Pervasive Developmental Disorder (PDD)

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抄録

<p>歯科受診に困難を伴うことの多い高機能の広汎性発達障害(PDD)児者に対して,歯科受診の適応性を迅速かつ簡便に把握するために,「歯科受診適応性評価表」を作成した.</p><p>「歯科受診適応性評価表」は8つの大項目(1.年齢,2.歯科治療経験の有無,3.初めての場面の受け入れ,4.言語能力・認知能力,5.コミュニケーション能力,6.感覚過敏性,7.こだわり・切り替え,8.衝動性・多動性)について,2~8つの質問項目で構成されている.PDDを有する患者16名(男性12名,女性4名,年齢6~19歳,平均年齢10歳5カ月)を対象として,「歯科受診適応性評価表」の各項目について保護者から回答を得た.回答時の歯科受診に対する適応状況から,対象者を「良好群」と「困難群」の2群に分け,各項目について比較検討した.</p><p>その結果,「言語能力,認知能力」に関する項目と「感覚過敏性」に関する項目について,「良好群」は言語能力,認知能力が高く,「困難群」は感覚過敏性が高い結果となった.さらに「感覚過敏性」に関する項目のうち,味覚と聴覚について,「困難群」では特定の味覚を好み,決まったものしか食べない者が多く,大きな音や特定の音を嫌う者が多かった.</p><p>以上の結果から,言語,認知能力が低く,感覚過敏性の高いPDD児者は,歯科受診への適応性が低い傾向にあることが示唆され,「歯科受診適応性評価表」はPDD児者の歯科受診適応性を簡便に評価するのに有用である可能性が示された.</p>

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