生物検定を用いて明らかにした樹幹周辺土壌の樹種特性

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タイトル別名
  • Differential characteristics of soils around the trunks of eight tree species as demonstrated using bioassays
  • セイブツ ケンテイ オ モチイテ アキラカ ニ シタ ジュカン シュウヘン ドジョウ ノ ジュシュ トクセイ

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抄録

<p>樹幹周辺の下層植生が多様な様相を呈する樹木見本園(京都市)において,株元に植生がなく裸地化していたスギ,ヒノキ,植生が著しく貧弱であったオニヒバ,ナギ,フジキおよび植生が豊富であったヌマスギ,エノキ,アキニレの計8樹種の樹幹周辺土壌の生物・化学的特性を,3種の草本植物およびフザリウム属菌を用いた生物検定ならびに土壌pH, ECの測定によって比較した.検定植物レタス,イタリアンライグラス(いずれも播種)およびセイタカアワダチソウ(根茎片を植付け)の生長量は,レタスでは明らかに,他の2種では概ね土壌採取場所の植生量の差異に対応した傾向を示した.また,フザリウム属菌の大型分生子の発芽率も土壌を採取した樹種間で著しく異なり,その傾向には検定植物の生長量の差異と共通性が認められた.とくにヌマスギ,エノキ,アキニレと他の5樹種の間でこれら生物検定結果の差異が明瞭であったことから,前者では生長促進的な土壌が,後者では生長抑制的土壌が形成されていると推察された.ヒノキ土壌およびスギ土壌は,pHがそれぞれ3.9および4.2と強酸性を示し,レタスの生長,フザリウム属菌の分生子の発芽ともに強く抑制した.EC値と生物検定結果との関係は認められなかった.以上の事実は,樹幹周辺表土の生物相の特徴や多様性に,そこに生育している樹木の種特性が深く関与していることを示唆している.</p>

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