鳥類で起こっているケミカルハザードとそのメカニズム

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タイトル別名
  • Chemical Hazard in Bird Species
  • チョウルイ デ オコッテ イル ケミカルハザード ト ソノ メカニズム

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抄録

<p> 化学物質が引き起こす被害「ケミカルハザード」は,鳥類においても報告されているが,その実態やメカニズムには不明な点も多い。シンポジウムでは鳥類において懸念されるケミカルハザードについて「重金属」と「殺鼠剤」を取り上げ,これまでの研究成果を報告した。本稿では,殺鼠剤に関して報告する。ドブネズミなどの外来性小哺乳類は,公衆衛生学的理由のほか,生態系を攪乱することから,その駆除のために殺鼠剤が使用されている。1950年代より,安全性を考慮して,ビタミンKエポキシド還元酵素を標的とした殺鼠剤が世界的に使用されている。一方で,ニワトリについて殺鼠剤への感受性が極めて低いため,鳥類では中毒が起こりにくいと考えられてきた。しかしながら,これまでの我々の研究で,鳥類では種によってこの殺鼠剤に対する感受性が大きく異なることがわかってきた。殺鼠剤の感受性種差についてその分子メカニズムを明らかにした研究はない。基礎的なデータ基盤が欠落したまま殺鼠剤を使用することにより,海外では外来性のげっ歯類駆除のために散布された殺鼠剤により,離島で8割の海鳥種が全滅したことも報告されている。また近年加速する猛禽類の生息数の減少の主要因の1つとして,この殺鼠剤による環境及び餌生物の汚染が挙げられている。現在,国内では離島の野生げっ歯類の駆除のために,鳥類での感受性が低いことを前提に殺鼠剤が用いられている。ここでは鳥類の殺鼠剤感受性と毒性メカニズムの一端を紹介する。</p>

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