書誌事項
- タイトル別名
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- Morphological Studies on the Diphyllobothriid Tapeworms from Killer Whale, <i>Orcinus orca</i>(Linnaeus, 1758)and Bottlenose Dolphin, <i>Tursiops truncatus</i>(Montague, 1821)
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説明
和歌山県太地町立くじらの博物館自然プールで飼育中のシャチOrcinus orca(1985年10月に紀伊半島沖で捕獲)と, バンドウイルカTursiops truncatus(1982年8月に同博物館の自然プール内で出生)がそれぞれ自然排出した裂頭条虫のストロビラについて, その形態を観察した。上記の2宿主から得た虫体は, いずれも頭節を欠くが, 片節の主要部位および虫卵の特徴から同じ種類の条虫で, バンドウイルカ寄生の虫体はやや未熟型と思われた。この条虫は, 1)片節が最大幅16.0mmと大型で, 多くは縦径<幅径であるが, 後方片節では縦径>幅径を呈する。2)各片節には1組の生殖器が認められ, 生殖孔の周囲に著明な乳頭が存在する。3)子宮ループの数は片側13〜18である。4)精巣は髄層内に一層に配列する。5)陰茎嚢は洋梨形で大きく(833×290μm)斜位を呈する。6)貯精嚢はほぼ球形(540×460μm)で壁が厚く(平均108.9μm), 陰茎嚢の背後壁に接続する。7)虫卵は楕円形で, 長径平均65.0μm, 短径平均47.7μm, 卵殻の厚さ平均3.2μmで, 卵殻表面には微小な点刻(pits)が散在する等の形態的特徴から, Hsü(1935)あるは矢崎ら(1982)によるフールマン裂頭条虫(Diphyllobothrium fuhrmanni Hsü, 1935)と同定された。シャチとバンドウイルカは, D.fuhrmanniの新しい自然終宿主である。また, バンドウイルカ寄生の条虫は, 出生後に自然プール内で感染したと考えられるため, このイルカ飼育中に餌料として与えた魚介類(感染源)についても言及した。
収録刊行物
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- 日本野生動物医学会誌
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日本野生動物医学会誌 4 (1), 53-60, 1999
日本野生動物医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204489623168
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- NII論文ID
- 110002683141
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- NII書誌ID
- AA11366156
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- ISSN
- 2185744X
- 13426133
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可