脂質の高度利用を指向した食品工学的基礎研究

  • 安達 修二
    京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Food Engineering Studies for Providing Lipids New Functionalities

抄録

主要な食品成分の一つである脂質の高度利用を達成するための工学的課題として, 抗酸化性に優れた粉末化脂質の合理的な調製法の確立, 有機溶媒中でのリパーゼを用いた親水性物質と脂肪酸の縮合による多様な乳化剤の合成および亜臨界水への脂肪酸の溶解とそれに基づくO/W型ナノ・エマルションの調製を取り上げた.粉末化による脂質の酸化抑制は, 食品高分子乾燥層の酸素に対する拡散抵抗のみならず, 脂質と食品高分子の相互作用が重要な役割を果たすことを示唆し, それを定量的に表現するモデルを提出した.また, 有機溶媒中でのリパーゼを用いた乳化剤の合成においても, 基質と水または基質と溶媒の相互作用により濃度基準の見掛けの反応平衡定数が大きく影響されることを示した.さらに, 各種の乳化剤を連続または半連続的に合成するための反応器システムを構築し, いくつかの興味深い特性をもつ生成物を得た.広い温度範囲にわたって脂肪酸の水への溶解度を測定するとともに, その知見に基づいて油滴径が100nm以下で分散の狭いナノ・エマルションを調製する新たな方法を提案した.

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被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (10)*注記

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