化学工学における計算機化学の応用  分子動力学シミュレーションを用いた多孔性シリカ膜における凝縮性/非凝縮性混合気体透過特性の検討

  • 吉岡 朋久
    広島大学大学院工学研究科 物質化学システム専攻
  • 都留 稔了
    広島大学大学院工学研究科 物質化学システム専攻
  • 淺枝 正司
    広島大学大学院工学研究科 物質化学システム専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Transport Properties of Condensable and Non-condensable Gas Mixtures through Microporous Silica Membranes Studied with Molecular Dynamics Simulation
  • 分子動力学シミュレーションを用いた多孔性シリカ膜における凝縮性/非凝縮性混合気体透過特性の検討
  • ブンシ ドウリキガク シミュレーション オ モチイタ タコウセイ シリカ マク ニ オケル ギョウシュクセイ ヒギョウシュクセイ コンゴウ キタイ トウカ トクセイ ノ ケントウ

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抄録

溶融–急冷法によって作製した仮想アモルファスシリカ膜のサブナノ細孔における凝縮性気体および凝縮性/非凝縮性気体混合物の透過シミュレーションを非平衡分子動力学法を用いて行った.直径約8 Åの細孔におけるエタン状LJ粒子の透過特性に関しては,400 Kから800 Kの比較的高温域において表面拡散的傾向が見られ,室温付近においては透過速度は温度の低下に伴って減少した.細孔表面との親和性がエタンに比べて小さい非凝縮性気体である窒素状LJ粒子の透過速度はエタンよりも小さく,高温域から室温に至る温度範囲で表面拡散的な透過傾向が見られた.実際のエタンの臨界温度(TC)よりも低い温度である260 Kにおけるエタン/窒素混合気体の透過シミュレーションでは,比較的エタン分率(分圧)が小さい条件ではエタンの透過速度に大きな分圧依存性は見られなかったが,ある分圧を越えると透過速度は大きく減少した.混合系における窒素の透過速度はエタン分圧が小さいところでエタン分圧の増加に伴って減少し,すべての分圧下において純窒素透過シミュレーション時の透過速度よりも小さかった.<br>これらの結果は,細孔表面と大きな親和性を有する凝縮性気体によって非凝縮性気体の移動が阻害され透過速度が低下することを示している.また,臨界温度以下の温度のある圧力下において形成されるミクロ孔充填相は,凝縮性気体自身の透過性も低下させると考えられる.サブナノ細孔における凝縮性気体の透過・分離特性にミクロ孔充填相の形成が重要な役割を果たしていることが分子シミュレーションにより明らかとなった.

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参考文献 (33)*注記

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