コンクリート廃棄物を利用した下水処理施設からのリン資源の回収

  • 茂原 伍郎
    東京大学工学部 化学システム工学科
  • 飯塚 淳
    東京大学大学院新領域創成科学研究科 環境システム学専攻
  • 長澤 寛規
    東京大学大学院新領域創成科学研究科 環境システム学専攻
  • 山崎 章弘
    成蹊大学理工学部 物質生命理工学科
  • 熊谷 一清
    東京大学大学院新領域創成科学研究科 環境システム学専攻
  • 柳沢 幸雄
    東京大学大学院新領域創成科学研究科 環境システム学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Phosphorus Recovery from Wastewater Treatment Plant by Using Waste Concretes
  • コンクリート ハイキブツ オ リヨウ シタ ゲスイ ショリ シセツ カラ ノ リン シゲン ノ カイシュウ

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抄録

下水処理施設からのリン回収法として,コンクリート廃棄物を用いる新規な晶析プロセスを提案した.下水のモデル水溶液(リン酸二水素カリウム水溶液)と廃セメント微粉末を用いた回分式析出反応実験をすることによりプロセスの実現可能性を検討した.汚泥脱水時の余剰水(汚泥返送水)に近いリン濃度(50 mgP L−1)の水溶液に廃セメント微粉末を1.0 g L−1入れた実験では360 minで50%のリンが除去された.またpHの上昇とカルシウム濃度の上昇が確認され,表面反応と水酸化カルシウムの溶出という2通りの反応メカニズムが示唆された.240 h反応させた試料のSEM画像解析と,X線回折分析の結果からは,リンがHAP(Hydroxyapatite)として廃セメント表面に析出していることが示唆された.反応速度はコンクリート塊を用いる場合に比べて数倍となった.また既往のHAP晶析法の実験と比較しても,同程度の反応速度が得られた.既往のHAP晶析法では,リン鉱石やケイ酸カルシウムなどの種結晶のほかに塩化カルシウムなどのカルシウム薬剤を必要とするが,これらをコンクリート廃棄物で代用することにより更なるコスト削減が期待できる.またコンクリートの骨材再生時に余剰物として発生する廃セメント微粉末は反応性が高く骨材を含まないため,コンクリート破砕物をそのまま用いるよりも更に高い反応速度を得ていると考えられた.

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (24)*注記

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