トリプシンおよびトリプシンインヒビター処理を伴うヒト角化細胞の継代培養操作

  • 梅垣 良太
    大阪大学大学院基礎工学研究科化学系専攻化学工学分野
  • 紀ノ岡 正博
    大阪大学大学院基礎工学研究科化学系専攻化学工学分野
  • 田谷 正仁
    大阪大学大学院基礎工学研究科化学系専攻化学工学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Subculture Operation with Trypsin and Trypsin Inhibitor in Successive Passages of Human Keratinocytes
  • 生物化学工学,食品工学,医用工学 トリプシンおよびトリプシンインヒビター処理を伴うヒト角化細胞の継代培養操作
  • セイブツ カガク コウガク ショクヒン コウガク イヨウ コウガク トリプシン オヨビ トリプシンインヒビター ショリ オ トモナウ ヒト カクカ サイボウ ノ ケイダイ バイヨウ ソウサ

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説明

無血清培地におけるヒト角化細胞の継代培養操作を行うため,トリプシンおよびトリプシンインヒビター存在下での培養条件について検討した.トリプシンのみを加えた培地では,培養初期における細胞の接着および増殖が著しく阻害されたが,トリプシンインヒビターを共存させることにより,細胞の接着能は通常の培地を用いた場合とほぼ同等となった.細胞増殖の遅延に関しては,通常培地に交換した後の対数増殖期において,未処理細胞に匹敵する倍化時間(23h)を示したことから,トリプシンとトリプシンインヒビターを除くための初期培地交換以後は増殖能が回復することが示された.トリプシンとトリプシンインヒビターが存在する培養において,初期培地交換時間tmを変えてその影響を調べたところ,培養96hにおける接着細胞濃度は,tm=24から36hの範囲で最大となり,初期培地交換時間が延長されるほど誘導期長さが直線的に増加することが分かった.細胞配置型モデルに基づいて,一次および二次からなる連続的な継代培養について細胞の増殖経過を推算し,検討した条件の下で,高い細胞生産速度を与える一次培養での最終細胞濃度,および二次培養での初期培地交換時間を求めた.計算結果に従って,トリプシンとトリプシンインヒビター処理を伴う継代培養を実施したところ,遠心分離操作を介した場合と同様な細胞生産速度を得ることができた.

収録刊行物

参考文献 (20)*注記

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