鉄粉を用いたフェントン反応によるトリクロロエチレンの分解に及ぼす鉄イオンの溶出とpHの影響

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タイトル別名
  • Influence of pH and Dissolved Fe Ion Concentration on Decomposition of Trichloroethylene with Fenton's Reaction Using Iron Powder
  • テップン オ モチイタ フェントン ハンノウ ニ ヨル トリクロロエチレン ノ ブンカイ ニ オヨボス テツ イオン ノ ヨウシュツ ト pH ノ エイキョウ

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説明

汚染土壌の浄化法として原位置分解法が注目されている.本研究では,その中でも化学的手法であるフェントン反応によるトリクロロエチレン(TCE)の分解速度の基礎データを取得することを目的とし,鉄粉を鉄源として用いたときに溶出した鉄イオン濃度やpH変化が分解速度に与える影響を,緩衝溶液をも用いて検討した.<br>分解反応速度は,過酸化水素濃度に依存し,88 mol/m3程度の濃度で極大値をとるが,これは過酸化水素から生成した水酸ラジカルによるTCE分解だけではなく,これと競争して起こる過酸化水素による水酸ラジカルの消費により説明される.上記の条件では,鉄の溶解すなわち鉄イオン濃度の上昇速度は最も大きく,また,pHも最も速く低下した.緩衝液を用いた実験から得られた鉄の溶解速度がpHに大きく依存するとの結果から,TCE分解の加速は鉄イオン濃度の上昇によりもたらされたのであり,pHの低下によるものではないことが示唆された.また,鉄イオンを用いたときには初期の急激なTCEの分解が生じ,一方鉄粉を用いた場合には導入期が存在したことは,鉄粉の比較的遅い溶解と,鉄イオンを用いた迅速なフェントン反応により説明できる.<br>鉄粉近傍の境膜内の鉄イオン,TCE分解により生ずると考えられる酸性物質およびTCEの濃度分布に関する議論から,境膜内では液本体に比べ鉄イオン濃度が高くpHが低いことが推定された.また,TCEの境膜内の移動速度は,その境膜内における速い分解反応により,加速されていることが示唆された.

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