非対称型デプスフィルターによる細菌懸濁液の精密濾過

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タイトル別名
  • Microfiltration of Bacterial Cell Suspensions with an Asymmetric Depth Filter
  • ヒタイショウガタ デプスフィルター ニ ヨル サイキン ケンダクエキ ノ セイミツ ロカ
  • Microfiltration of bacterial cell suspension with an asymmetric depth filter

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抄録

非対称型デプスフィルターSE20(公称孔径0.2 μm)について,2種類の細菌Lactobacillus plantarumおよびBacillus amyloliquefaciensの懸濁液を用いて,種々の濾過圧力,濃度にて濾過実験を行い,その濾過特性を検討した.L. plantarum懸濁液では濾過圧力10–150 kPaの範囲で,スクリーンフィルターの場合と比較して3–8倍の高い濾過速度が得られた.見かけの比抵抗が10–100分の1程度に低下することも示された.走査型電子顕微鏡にて濾過後のデプスフィルター断面を観察すると,L. plantarum菌体はフィルターの深さ方向に3分の2程度侵入した付近から分散して捕捉されていたため,濾過抵抗の増加が低かったと考えられた.一方,B. amyloliquefaciens懸濁液の濾過では10–50 kPaではデプスフィルターとスクリーンフィルターのいずれを用いた場合もほぼ同じ濾過速度であった.しかし,濾過圧力を100–150 kPaに高めると濾過速度はデプスフィルターの10倍に増加した.スクリーンフィルター上の菌体層は高い圧縮性を示したが,デプスフィルターに捕捉された菌体層の見かけの比抵抗は50–150 kPaにおいて濾過圧力の増加とともに減少した.電子顕微鏡で観察すると,濾過圧力が10 kPaの場合はデプスフィルター表面に菌体層が生じていたが,100 kPaに高めると菌体がデプスフィルター内部に分散して捕捉されていた.非対称型デプスフィルターを用いてB. amyloliquefaciensのような集塊状に連鎖した菌体の懸濁液の濾過を行うときには,フィルター内部に捕捉されるように濾過圧力を高めることが有効なことが示された.

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