芳香族化合物の極性と活性炭表面の酸性官能基が吸着に及ぼす影響

  • 吉田 博明
    千葉大学大学院工学研究科
  • 天野 佳正
    千葉大学大学院工学研究科 千葉大学総合安全衛生管理機構
  • 町田 基
    千葉大学大学院工学研究科 千葉大学総合安全衛生管理機構

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Polarities of Aromatic Compounds and Acidic Functional Groups of Carbon Surface on Adsorption
  • ホウコウゾク カゴウブツ ノ ゴクセイ ト カッセイタン ヒョウメン ノ サンセイ カンノウキ ガ キュウチャク ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

本研究では,硝酸酸化とその後の脱気処理により,細孔構造が同等で異なる表面酸性官能基量をもつ活性炭を調製し,それらを吸着剤として用いて11種類の芳香族化合物の吸着実験を行った.吸着実験を通じ,活性炭表面の酸性官能基の有無と,吸着質として用いた芳香族化合物の芳香環に結合した置換基のもつ性質が,吸着に及ぼす影響を調べるとともに,吸着形態を考察した.表面酸性官能基をもつ活性炭(DAOx)は,官能基をもたない活性炭(DAOxOG)よりも,芳香族化合物に対する吸着親和力が小さいことがわかった.しかし,ニトロベンゼンのような双極子モーメントの大きい芳香族化合物は,フェノールのような双極子モーメントの小さい芳香族化合物とは対照的に,溶質が高濃度になるにつれてDAOxへの吸着量がDAOxOGと同程度になるほど増加する傾向を示した.芳香族化合物は主に活性炭のグラフェン層にπ–π相互作用により平面的に吸着していると予想されるが,双極子モーメントの大きい芳香族化合物は,DAOxへの吸着形態がDAOxOGとは異なり,細孔内の酸性官能基上に形成された水クラスターに,置換基を下にして直立に近い状態で吸着すると推測された.擬二次速度定数を比較すると双極子モーメントの大きい芳香族化合物は,小さいものよりもDAOxにおける速度定数が小さいため吸脱着過程において細孔内で拡散しにくいことがわかった.

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参考文献 (73)*注記

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