Studies on the Eclosion of the Silkworm Moth. I.

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  • 家蠶の化蛾, 脱繭に關する研究 (第1報)

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以上の實驗結果を要約すると次の樣である.<BR>1) 化蛾期が近づくと蛹體外面に皺が出來柔軟となる. 而して品種, 個體, 環境等により異るが概ね脱皮前30-60分頃になると體躯を動揺し始める.<BR>2) 化蛾前20-40分頃になると蛹體は胸脚, 翅, 腹部環節の順序で帶褐乳濁色に變色し始め, 變色が終つた後10-30秒位蛾體は蛹殻内で屈伸運動を行ひ化蛾を開始する.<BR>3) 化蛾の際に蛹殻が最初に裂開する部位は胸部背面正中線が最も多く, 胸部と腹部背面との境が之に亞ぎ, 頭部と胸部背面との境が最も少く, 且つ以上の3部位以外より裂け始めるものは無い.<BR>4) 蛾體は前項の3部位が順次交互に裂けその裂孔より脱出する. その順序を類別すると6つの組合せが出來るが, 最初に胸部背面正中線次に背面に於ける胸部と腹部との境が裂開するか或は之と反對の順序をとるが兎も角背面に於ける頭部と胸部との境が最後に裂開する型が大部分を占め, 他の順序によつて裂開するものは極めて少い.<BR>5) 化蛾脱皮の所要時間は雄が雌より短かく, 最短個體に對する最長個體の倍率も又雄が小さい. 而して春蠶期は秋蠶期より幾分長い傾向がある.<BR>6) 蛹殼重は雌が雄より重いが, 蛹體重に對する蛹殼重の割合及び蛹殼水分率は雄が雌より大きい.<BR>7) 脱繭時に於ける蠶蛾の行動を觀察すると次の樣である.<BR>a) 頭部蛾が繭腔内にある時は繭層の吸胃液浸潤部を押す.<BR>b) 胸脚脚が脱繭する迄は第1胸脚は繭層の吸曽液浸潤部をき分け, 第2及第3胸脚は體躯を支持する. 全脚が脱出後は各脚は繭層又は他物につかまり體躯の引出し運動を行ふ.<BR>c) 腹部完全に脱繭する迄は伸縮前進運動を行ふ. 而して繭腔内にある時は個體により中央附近の環節より體躯を内方に曲げて背面及尾端を繭層につけ體躯を支持する外に接觸部位 (主に尾端) を伸縮前進運動の力の據點となすものがある.<BR>8) 蛾の脱繭部位は光線の照射方向, 繭の角度にかかはらす破風部附近より出る.<BR>9) 蛾の脱繭方向は明暗や蛹體の方向を變へると否とにかかはらす頭部に近い破風部より脱繭すろものが多く, 反轉するものは極めて少い.<BR>10) 蛾は脱繭に際して殆ど趨光性を示さない.<BR>11) 蛾が脱繭する際に, 蛹が脱皮を開始してから頭部が脱繭すろ迄, 頭部が脱繭してから胸部が脱繭する迄, 胸部が脱繭してから腹部が脱繭する迄及蛹の脱皮を開始後完全に脱繭する迄の夫々の時間を測定した結果は何れも雌が雄より長時間を要した.<BR>12) 蛹が脱皮を開始してから頭部を繭外に脱出する迄の時間は頭部を脱出してから完全に脱繭を終了する迄の時間より遙に長い.<BR>13) 蛾の頭部が繭外に出てから胸部が出る迄の時間は胸部を脱出してから腹部が脱出する迄の時間より遙に長い.<BR>14) 脱繭時の吸胃液吐出囘數は雌は雄より少いが, 吐出液量は反對に雌の方が多い.15) 吸胃の吐出液量と蛹體重との間には正の相關々係がある.<BR>16) 第1囘の蛾尿排泄は胸腹部が脱繭する際に行はれる場合が最も多い.17) 蛾尿量は雄が雌よりも多く, 殘存吸胃液は呑下されて後に蛾尿と共に排泄される.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001204530688384
  • NII Article ID
    130004029140
  • DOI
    10.11416/kontyushigen1930.19.255
  • ISSN
    1884796X
    00372455
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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