家蚕消化液プロテアーゼの3成分の比較 : 基質特異性と阻害剤の影響

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タイトル別名
  • カイコ消化液プロテアーゼの3成分の比較  基質特異性と阻害剤の影響
  • Comparison of three proteases in the digestive juice of the silkworm
  • カサン ショウカエキ プロテアーゼ ノ 3 セイブン ノ ヒカク キシツ トク
  • 基質特異性と阻害剤の影響

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抄録

カイコの消化液より分離した3種のプロテアーゼについて, 基質特異性と各種阻害剤の影響を調べ, これらの酵素の性質を比較検討した。<br>実験に用いた5種のタンパク質の中では, ハマステンカゼインが最も分解されやすく, 大豆カゼインの分解活性は低かった。また3つのプロテアーゼのなかで, 6B-1が比較的天然のタンパク質を分解しやすいという結果が得られた。合成基質を用いた場合, TAMEについては6B-3が最も分解しやすく, BAPNAの場合は6B-2および3が分解しやすいことがわかった。しかし, 6B-1は上記2つのトリプシンに特異的な合成基質の分解活性が弱かった。<br>種々の合成阻害剤の影響からこれらのプロテアーゼは, 共に活性中心にセリンをもったプロテアーゼで, SH基に依存性のプロテアーゼとみることができる。さらに大豆トリプシンインヒビターによって3種のプロテアーゼともに阻害を受けたが, 程度は異っていた。また, カイコの血液中に存在するプロテアーゼインヒビターによっても6B-2および3は強く影響を受けたが, 6B-1はほとんど阻害されなかった。<br>以上を考察した結果, 消化液の3種のプロテアーゼは, 基質特異性や阻害剤に対する挙動の面でも類似点と相違点のあることがわかり, 基質の分解などの点で役割の分担が推定できる。

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