絹織物の曲げ変形特性に関する研究 II  絹織物の曲げ挙動に関係する伸長ひずみと洗たくの効果

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タイトル別名
  • Studies on the bending of silk fabrics
  • キヌ オリモノ ノ マゲ ヘンケイ トクセイ ニカンスルケンキュウ 2 キヌ
  • II. 絹織物の曲げ挙動に関係する伸長ひずみと洗たくの効果

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抄録

つむぎとして市販されている手つむぎ糸使用の結城つむぎおよび精練絹糸使用の大島つむぎ (奄美大島, 本場大島) に, 実際の着用条件を想定して伸長ひずみと洗たくをくり返した場合の曲げヒステリシス特性を検討して次の結果を得た。<br>1. 結城つむぎでは, 伸長ひずみが繊維のからみ合いを増すと同時に, 洗たくによる集束硬化を解きほぐす分繊化作用を示す。また, 洗たくにより繊維の収縮と糸の集束効果を表わし, 糸の内部圧力と交錯圧力の増大を示す。<br>2. 大島つむぎは, 履歴加算で特性値が減少する傾向を示すが, 奄美大島はとくに軟化が大きく, 本場大島は伸長ひずみで硬化, 洗たくで軟化の傾向すら示す。<br>3. 糸繊度や糸密度のような幾何学的交錯条件にほとんど変化がなくても糸自身の集束や分繊によって, 繊維同志, 糸同志の摩擦効果が交錯条件に影響し, 布の曲げかたさ, ヒステリシス特性に関係する。<br>4. 手つむぎ糸は繊維がクリンプをもって複雑にからみあった交絡糸であり, 洗たくによって残留ひずみを復元させるキャパシティーが大きいが, 精練絹糸は洗たくで摩擦効果を減じ疲労を早める効果をもつものと推測される。

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