中国民居研究
書誌事項
- タイトル別名
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- A study of Chinese dwellings
- 客家の方形・環形土楼について
- analysis of rectangular and circular plans of the Hakka people
抄録
中国住居建築研究の一環として福建省永定県・南靖県における客家の方形・環形土楼を研究対象とした。客家は漢族の一系であるが古くから南遷移住を行い漸く華南各地に定住した。先住者との接触を避け山間地に居住し集団労働・共同防衛のために大家族制を維持し伝来の文化を保持するとともに巨大にして特異な住居を形成して来た。客家民居は中国住居の典型である四合院形式を受けつぐとともに福建民居の地域的影響を受けているが,総体として世界に類を見ない特有の形態を構成している点はきわめて注目に値する。本研究においては現地における実測調査を主体としその形態を図示するとともに客家民居の中国住居全体との共通点および相違点について明らかにしたい。第一に客家の移住史と居住地,それに由来する家族制度と一般習俗さらに民族特性を指摘する。第二に福建民居について言及しとくに客家の平地型群体住居との関連を考察する。第三に客家民居の主要な類型について例挙する。まず群体住居として三堂二横式,ついで方形・環形土楼さらに斜面住居について実例をあげながら,それらの平面形式・外観・使われ方などについて述べている。客家民居はすべて大家族の集合住宅であり防衛のための城塞である。その巨大性と個有性を生成した生土建築と木造建築の混在は興味深い構法の組合せである。第四に生活構成・空間構成について分析を試みているが,客家民居の設計原理としての,“風水”について言及する。現在中国において迷信として排除されているが中国古来の地占術・家相術として採用されて来た“風水”は,とくに華南における建築研究に重要な意義をもつものと思われる。第五に築造技術として生土壁による土楼構築の材料と工法について述べ,建築各部分について解説している。最後に客家民居の評価,展望を行い,さらに今後の調査研究の見通しについて言及しまとめとしている。なお実測を行った客家民居8例について各種図面を添付している。
収録刊行物
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- 住宅建築研究所報
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住宅建築研究所報 13 (0), 373-382, 1987
一般財団法人 住総研
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204547531904
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- NII論文ID
- 130006730049
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- ISSN
- 24239860
- 02865947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可