東京を中心とした大都市圏住宅問題の新たな展開と自治体住宅政策の役割およびその効果に関する研究(2)
書誌事項
- タイトル別名
-
- A study on the possibility and effects of local governments' housing policy (2)
抄録
従来の住宅政策が行き詰まり,新たなパラグイムの構築が求められている。本研究の目的は,その手掛かりを自治体住宅政策に探ることである。昨年の住宅問題の規状把握に続き,本年は,政策に力点を移し検討した。 まず,東京23区における住宅政策について,できるかぎり資料を収集し検討を加えた。この間とられてきた政策には,今までのわが国の住宅政策にはなかった動きがあり,それらは次の3点に要約できる。1.過半の区での住宅条例制定,2.大多数の区での住宅マスタープラン作成,3.家賃補助政策の広がり。1.住宅条例については,a.住宅の水準は抽象的表現にとどめ,具体的な水準は条例に基づく計画に委ねる,b.開発者負担金などは協力要請にとどめる,といった特徴が見いだされ,自治体独自の住宅政策の展開が国の法律に規定されている現状が明らかとなった。2.住宅マスタープランは,具体的な政策を表明したものとして,現段階でもっとも注目されるが,現在の到達点からは,a.土地利用計画との連動,b.地域独自の住宅水準設定,c.事業計画の質・内容および実効性確保,の3点が今後の課題として見いだされた。 3.家賃補助制度については,現在は定住政策としての性格が強いこと,これを住宅政策として昇華できるかが今後の課題であることが見いだされた。4.ほかに,住宅政策の基礎となる住宅データーについて,基礎自治体にどのようなデータが蓄積されているかについて,整理・検討を行なった。大都市圏では,住宅政策における基礎自治体の主体性確立に,圏域レベルで業務施設と住宅とをバランスさせる政策が必要である。この点に関し,本研究では,まず,都心部業務人口と通勤人口の相関を定量的に把握,それを是正する政策を検討した。具体的には,業務開発と住宅整備をセットにするマクロリンケージを,開発負担金,特別事業税その他政策で支えることが有効との結論に達した。
収録刊行物
-
- 住宅総合研究財団研究年報
-
住宅総合研究財団研究年報 19 (0), 295-305, 1993
一般財団法人 住総研
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001204547953664
-
- NII論文ID
- 130006730312
-
- ISSN
- 24239879
- 09161864
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可