任脈に関する一考察

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タイトル別名
  • A study on the conception vessel
  • ニンミャク ニ カンスル イチ コウサツ

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説明

本論文は 『黄帝内経』 にある任脈に関する記載文献を基に、 医学原理、 文字学及び歴史学の新知見を踏まえて任脈の由来を検討し、 以下の見解を得た。 『黄帝内経霊枢』 五音五味篇にある 「任衝盛んならず」 による 「天宦」 及び 『黄帝内経素問』 骨空論篇にある 「任脈の病たる、 男子は内に結して七疝たり、 女子は帯下・カ聚たり」 という記載があることから、 任脈は考案された当初から男女ともに存在していることが明らかになった。 また、 任脈の走行は出産胎児に繋がっている臍帯の痕である臍と経血の排出口である陰道口、 精液の排出口である尿道口、 胎児を蔵す場所である女子胞 (子宮) とがすべて人体の正中線上に位置することに加え、 古代宇宙観念における子午線の知識を取り入れて形成されたのではないかと考えられる。 任脈の起点は主に人体生命誕生のメカニズムを解明していく過程の中で、 男子の 「精気溢写す」 と女子の 「月事時を以て下る」 という二つの事柄に注目し、 生殖器の構造上の相違を避けながら、 腎気・天癸・任脈・衝脈という捉え方で解釈しているから、 両者にとって共通なルーツを持つ、 人体の正中線上にある胞 (膀胱) に発するのではないかと考えるようになったと思われる。

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参考文献 (51)*注記

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