すくみ足を主症状とするパーキンソン病患者への鍼治療の1症例

  • 草川 継夫
    千寿鍼灸院 (元筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター)
  • 坂井 友実
    東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科
  • 大越 教夫
    筑波技術大学保健科学部保健学科神経内科

書誌事項

タイトル別名
  • Acupuncture treatment in a Parkinson's Disease patient with frozen gait
  • スクミ アシ オ シュ ショウジョウ ト スル パーキンソンビョウ カンジャ エ ノ ハリチリョウ ノ 1 ショウレイ

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説明

【はじめに】パーキンソン病患者に対する鍼治療は、 運動症状をはじめとして、 自律神経症状、 精神症状および随伴症状を対象に行われている。 今回、 すくみ足を主症状とするパーキンソン病患者を治療する機会を得たので報告する。 <BR>【症例】58歳、 男性 主訴:すくみ足と下肢のだるさ。 現病歴:200X-3年2月歩行障害を自覚。 200X-2年4月薬物治療を開始。 その後すくみ足は緩やかに進行。 200X年5月鍼治療を開始。 現症:運動症状では振戦、 筋強剛は軽度で、 すくみ足が主症状である。 自律神経症状等はなく、 随伴症状として下肢のだるさを自覚。 ADLは概ね自立できているが姿勢反射障害が認められることから、 ヤール分類では3度。 治療方法:合谷-曲池(4診目まで)、 足三里-三陰交(5診目以降変更)、 殷門-承筋(28診目以降追加)に低周波鍼通電(1~2Hz、 15分)および腰下肢の要穴に置鍼。 併用薬物:レボドパ/カルビドパ合剤、 塩酸トリヘキシフェニジル、 アマンタジン塩酸塩。 評価方法:すくみ足については施術前後で10m歩行、 方向転換のタイム計測を、 下肢のだるさはVASにより行った。 <BR>【結果】すくみ足を評価した10m歩行と方向転換のタイムは10ヶ月間で26回計測したが、 直後効果、 累積効果ともに明確な改善は認められなかった。 下肢のだるさを評価したVASは6ヶ月間で21回測定し、 施術後直後効果 (平均17mmの改善) が認められ、 1~2日の持続効果も認められた。 <BR>【考察】すくみ足に関する先行症例では、 上肢への低周波鍼通電により改善したことが報告されており、 今回のも当初同一の方法を試みたが、 改善効果を得るには至らなかった。 結果が相違した理由は明確ではない。 その後下肢への鍼通電に変更したが改善は認められなかった。 ただし下肢のだるさについては直後効果や持続効果が認められ、 鍼治療後に 「気分がすっきりする」 等の効果も認められた。 <BR>【結論】本症例における鍼治療は、 下肢のだるさや気分がよくなるなどの自覚症状としての感覚症状や精神面の改善が得られたところに意義があると思われる。

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