重粒子線によるがん治療—HIMACを利用して—
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- 佐藤 幸夫
- 放射線医学総合研究所
書誌事項
- タイトル別名
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- Heavy-ion medical accelerator in Chiba (HIMAC)
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説明
炭素やネオンなどの重イオンを物質に照射した場合,イオン種と運動エネルギーで決まる飛程の終端部付近で急激に線エネルギー付与 (LET) が増大し,いわゆるBragg・ピークを形成する.これはX線やγ線とは異なるきわだった特性であり,重イオンを深部がんの治療に用いれぱ体表面での放射線被曝による損傷を大幅に軽減できる可能性を示している.重イオンのこのような特性を十分にいかし,効率的ながん治療を行うため1987年に千葉市の放射線医学総合研究所敷地内でHIMAO (Heavy-lon Medioal Aooelerator in Crliba) の建設が開始された. HIMACはシリコン・イオンを人体中 30cm の深さに達するに必要なエネルギーである800MeV/核子まで加速できる能力を持ち,患者を治療するための治療室を3室有している. 1994年3月には装置に関する調整・検査が完了し,約3カ月間の基礎実験期間を経て6月から臨床試行が開始された. 1995年度末までに,約100人の患者に対する治療照射が行われたが,初期の段階にもかかわらず多くの症例に対しかなりよい結果が期待されている.
収録刊行物
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- 応用物理
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応用物理 65 (6), 578-586, 1996
公益社団法人 応用物理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204595870720
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- NII論文ID
- 130003593591
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- COI
- 1:CAS:528:DyaK28XjvVyjt7k%3D
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- ISSN
- 21882290
- 03698009
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可