建築表現における奥行きの概念

  • 加藤 道夫
    東京大学総合文化研究科, 広域科学専攻, 広域システム科学系, 情報・図形科学/教養学部

説明

20世紀の建築の変容の要因は, 線遠近法に代表されるルネサンス以来の奥行き概念といかに関連するのか?本稿では, 19世紀から20世紀にかけての建築変化の様態を20世紀を代表するル・コルビュジエに求め, その建築空間の変質と奥行き表現との関係を例証した. その結果, 以下の点を明らかにした. 1) 立断面図においては, 「形の輪郭」表現に特化する傾向が見られる. 2) ピュリスムに由来する色彩による奥行きの導入が見られる. 3) スケッチにおいては, 遠景における奥行きの短縮, および, 内部空間における奥行きの誇張という線遠近法の規則からの逸脱が見られる. 4) 戦後には「肌理」と「陰影」が復権し, 意図的な奥行きの表現が見られる.

収録刊行物

  • 図学研究

    図学研究 42 (Supplement1), 65-70, 2008

    JAPAN SOCIETY FOR GRAPHIC SCIENCE

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204635307136
  • NII論文ID
    130001818788
  • DOI
    10.5989/jsgs.42.supplement1_65
  • ISSN
    18846106
    03875512
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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