建築設計図面における「書き込み不足」の現状と設計変更への影響

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  • ケンチク セッケイ ズメン ニ オケル 「 カキコミ ブソク 」 ノ ゲンジョウ ト セッケイ ヘンコウ エ ノ エイキョウ

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近年、公的規制の緩和に伴い、企業の自己責任原則の強化とアカウンタビリティの必要性が指摘される中で、建築分野における説明責任が見直されてきている。本研究は建築の設計図面を当事者間における共通言語として捉え、設計図面における情報不足の内容が施工段階に発生する設計変更に影響しているかどうかを明らかにすることを目的に、本稿では実際に施工された建築プロジェクトの事例を用いて、設計図面の情報不足の内容を積算段階の見積質問書から分析するとともに、施工段階で設計変更になった変更内容を分析した。その結果、設計が完了した設計図面においても仕上工事における「材種、材質」や「寸法」などの「書き込み不足」や「図面問の食い違い」があること、設計図面に対する見積指摘率は仕上表 (内部) が最も高く、次いで平面詳細図、部分詳細図、平面図などが高く、展開図、断面図、矩計図などは5%以下と低いこと、一方、施工段階で発生した設計変更は仕上工事における「形状」、「仕様・その他」や躯体工事における「寸法」に関する内容が多いこと、設計図面の図面変更率は、平面詳細図、平面図が最も高く、次いで展開図、建具表などが高いことなどの結果を得た。また見積質問書と設計変更リストのそれぞれの記述内容に共通する部位が存在することから、少なくともその部位に関しては、設計作業が完全に完了していないか、未解決であることが考えられ、それが要因となって施工段階での設計変更につながった可能性を否定できず、設計図面の「書き込み不足」が施工段階に発生する設計変更に影響しないとは言い切れないという結果が得られた。

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