ロシアの基礎研究から日本産業への知識移転

  • 八代 英美
    北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科知識社会システム学
  • 小林 俊哉
    北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究戦略

書誌事項

タイトル別名
  • Case Study of Successful Linkages between Russian Research Organizations and Japanese Companies
  • ロシア ノ キソ ケンキュウ カラ ニホン サンギョウ エノ チシキ イテン

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抄録

本論文では,海外の基礎研究の成果をどう開発段階へ持っていくか,知識移転の事例としてロシアの研究機関と日本企業の例を取り上げる。ロシアの基礎研究の成果は航空宇宙や原子力の分野で知られているが,バイオやナノテクなどの分野でも研究・技術人材が多数存在する。しかし,ソ連崩壊後,研究機関の予算が大幅に削減されたロシアでは,研究機関の急速な解体が進んでおり,多くの研究者が困窮している。一方,日本では基礎研究費用が削減されており,多くの企業で中央研究所が縮小され民間による基礎研究の成果も減少している。このような環境下で,ロシアが得意としてきた真理追究を目的とした基礎研究と,日本が得意とする物づくりの連携が可能であるならば,両国にとって有益な発展が望めるのではないだろうか?本論文ではバイオ,ナノテク,環境の3つの分野において,ロシアの研究機関で永年蓄積された基礎研究の成果を用いて日本企業が製品開発した事例を取り上げ,日本とロシアの共創による研究開発成果のすみやかな市場化の可能性を検討する。ロシアの基礎研究と日本の物づくりを組み合わせて製品開発すれば,既存市場を革新する突破口ともなりうる。さらに,ロシアの軍事技術が日本で民生利用されるなどの社会的なスピルオーバーも期待できる。

収録刊行物

  • 研究 技術 計画

    研究 技術 計画 21 (3_4), 243-251, 2007

    研究・イノベーション学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (24)*注記

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