消化管潰瘍で発症し,急速進行性腎炎と多発肺結節を伴った治療抵抗性ANCA関連血管炎の1例

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  • A refractory case of MPO-ANCA-associated vasculitis presented with gastrointestinal ulcer, rapidly progressive glomerular nephritis and pulmonary multiple nodules.

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抄録

  症例は57歳男性.2006年5月より黒色便が出現.上部消化管内視鏡検査にて胃十二指腸潰瘍を認め,同部よりの生検は血管炎の所見であった.以後,急速に腎障害が進行したため,精査加療目的にて同年6月21日に当科に入院となった.CRP 22.53 mg/dlと炎症反応が高値であり,MPO-ANCA陽性(26 EU)と併せ顕微鏡的多発血管炎と診断した.ステロイドパルス後,Prednisolone 1 mg/kg/日の投与を開始し,Cyclophosphamide (CPA) 100 mgを点滴静注すると共に,経内視鏡的止血術を頻回に繰り返したが,潰瘍からの出血は止まらず,入院第18病日に止血目的にて膵頭胃十二指腸切除術を施行した.術後,小腸より出血が再発し,入院第27病日には,胸部CTにて両肺に空洞を伴う結節影が出現した.同部の生検にて血管炎の所見を得たため,血管炎の活動性が増悪していると判断し,ステロイドパルス,大量ガンマグロブリン療法(20 g×5日間),CPA 500 mg, Rituximab 500 mgを投与したが改善せず,出血性ショックのため入院第42病日に死亡した.消化管潰瘍で発症し,その後,急速進行性腎炎と肺結節を伴い,あらゆる治療に抵抗して死亡したANCA関連血管炎の1例であり,示唆に富む症例であるため報告する.<br>

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参考文献 (19)*注記

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