W8-2  自己免疫疾患とMAIT細胞

  • 千葉 麻子
    順天堂大学医学部 免疫学講座 (独)国立精神・神経医療研究センター神経研究所 免疫研究部

抄録

 Mucosal-associated invariant T (MAIT)細胞は腸管粘固有層やパイエル板に多く存在するため,その名が冠せられたT細胞である.MAIT細胞はMHC Class Ib分子に属するMajor histocompatibility molecule related 1 (MR1)分子に拘束され,T細胞受容体(TCR)にセミインバリアントなα鎖(ヒトVα7.2-Jα33,マウスVα19-Jα33)を発現し自然リンパ球の一種と考えられている.多発性硬化症の動物モデルで病態の抑制に作用していること,末梢血単核球のマイトジェン刺激に対する反応を抑制することから制御性細胞として機能することが示唆される.一方でMAIT細胞が欠損したマウスではコラーゲン誘導関節炎や抗体誘導関節炎が軽症化することから,MAIT細胞は関節炎モデルにおいては病態悪化に作用すると考えられる.これらのことから,MAIT細胞は自己免疫病態に深くかかわっていることが推測される.今回我々は全身性エリテマトーデス(SLE)患者のMAIT細胞について解析を行った.SLE患者の末梢血中MAIT細胞は健常者に比較して頻度が著しく減少していた.また,刺激に対するMAIT細胞の増殖能はSLE患者において低下していた.更にSLE患者のMAIT細胞は生体外で活性化状態にあり,細胞死を起こしやすいことが明らかとなった.以上の結果より,SLE患者のMAIT細胞は増殖能に障害があるだけでなく,何らかの刺激により活性化誘導細胞死を起こし減少していることが示唆された.<br>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ