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  • 分子標的治療薬のアニュアルエビデンスレビュー1  がん免疫療法の新しい動き

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この数年間でがん免疫療法の開発に大きな成果が生まれつつある.所謂免疫チェックポイント阻害療法と抗原受容体遺伝子を改変したT細胞療法である.前者についてはT細胞の負の制御分子であるCTLA4,PD1及びそのリガンドであるPD-L1に対する阻害抗体の目覚ましい臨床的効果が挙げられる.メラノーマを対象に,これら3種の抗体は,明らかな臨床的効果を示すことが相次いで報告され,中には完全寛解が長期に続き疾患の治癒が期待できる症例も含まれている.抗PD1抗体については,メラノーマのみならず肺がんや腎臓がんなどでも臨床的効果が認められ,治療法の適応が大きく広がることが期待される.さらにこれら複数の抗体を組み合わせて使用することが臨床効果を大きく広げる可能性も示されつつある.一方で,後者の抗原受容体改変のT細胞輸注療法も,極めて明確な臨床効果を示しつつある.患者T細胞に,抗体の抗原認識部位とT細胞の活性化シグナル担当部分から構成されるキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor; CAR)遺伝子を導入したT細胞輸注が注目を集めている.標的抗原CD20の場合,各種B細胞性腫瘍で完全寛解を含む明らかな臨床効果が報告され続けている.また,がん抗原特異的TCRを遺伝子導入したT細胞療法の発展も著しい.本講演ではこれらの治療法を中心として最近のがん免疫療法の成果の新しい展開について話す.

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