Rising Star Symposium 4  The Role of Autophagy in Rheumatoid Arthritis, to Protect or to Kill?

  • 加藤 将
    北海道大学大学院 医学研究科 内科学講座 免疫・代謝内科学分野

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抄録

滑膜線維芽細胞(SF)の過増殖は関節リウマチ(RA)の病態において中心的役割を担っている.活性化したSFは大量の炎症性サイトカイン,マトリックス分解酵素を産生し,関節の炎症,破壊に寄与する.故に,このSFを細胞死に誘導することはRAに対する治療戦略の一つである.今回我々は,RA患者由来のSFにおいて1)オートファジー活性が高いこと,2)アポトーシス抵抗性であるが,ある種の非アポトーシス性細胞死に感受性が高いこと,3)p62/sequestosome 1陽性ユビキチン凝集体と巨大空胞が形成されやすいこと,4)Autophagy-linked FYVE proteinの発現が低下していることを示し,この非アポトーシス性細胞死はAutophagic Cell Deathの定義と合致した(Kato M, et al. Arthritis Rheumatol. 2014).次に我々は,このAutophagic Cell Deathの感受性を更に高める方法を模索した.p97/valosin containing proteinはユビキチン-プロテアソーム系を制御し,この変異は封入体筋炎とかかわる.RA患者由来のSFをp97 siRNAまたはp97阻害剤で処理すると,ユビキチン凝集体と巨大空胞の形成を伴った細胞死が促進され,この細胞死はオートファジー阻害により抑制された.以上の結果より,Autophagic Cell Deathが関節リウマチ滑膜線維芽細胞の“アキレス腱”である可能性,p97阻害がAutophagic Cell Deathを誘導する有力な手段であることが示唆された.

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