P8-005 大動脈病変を呈したRosai-Dorfman diseaseの1剖検例

  • 白柏 魅怜
    京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学
  • 湯川 尚一郎
    京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学
  • 山川 範之
    社会福祉法人京都社会事業財団 京都桂病院
  • 村上 孝作
    京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学
  • 笹井 蘭
    京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学
  • 橋本 求
    京都大学大学院医学研究科 リウマチ性疾患制御学
  • 井村 嘉孝
    京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学
  • 吉藤 元
    京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学
  • 大村 浩一郎
    京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学
  • 藤井 隆夫
    京都大学大学院医学研究科 リウマチ性疾患制御学
  • 三森 経世
    京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学 京都大学大学院医学研究科 リウマチ性疾患制御学

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抄録

【背景】Rosai-Dorfman disease(RDD)はリンパ節腫脹を呈する非腫瘍性組織球増殖性疾患であり,骨,皮膚,中枢神経などの臓器病変を認めるとされるが,画像上大動脈病変の報告はごく稀にあるものの,病理組織学的に証明された報告はない.【症例】58歳男性.2008年胸部X線で右胸壁腫瘤を指摘,CTガイド下肺生検では診断がつかず,その後腫瘤は増大し発熱,炎症反応も認めたため胸腔鏡下肺部分切除施行され,組織球浸潤を伴う器質化肺炎とされた.同時に胸部大動脈瘤を指摘され,FDG-PETで集積を認めたため高安動脈炎を疑われ当科紹介された.MRIでは上行~腹部大動脈の壁肥厚および造影効果を認め,虹彩炎,関節炎も伴っていた.前医胸壁病理標本を再検討した結果,S100(+)CD68(+)CD1a(−)組織球の著明な浸潤を認め,emperipolesisが存在したことからRDDと診断した.ステロイド大量投与は効果不十分で,シクロフォスファミド間歇静注療法も無効であり,2年後トシリズマブを開始した.発熱,虹彩炎,関節炎に対しては著効し,大動脈瘤の増大も抑制したが,脳内病変が発症した.クラドリビンと放射線治療の併用により縮小がみられたが,最終的に多発脳梗塞のため死亡した.剖検の結果,硬膜,骨,心外膜などに加え,大動脈へのRDDの浸潤が確認された.【結論】本例が最初の大動脈病変の浸潤を剖検で証明された貴重な症例と考え報告した.

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