学習障害の定義にかかわる諸問題と今後の課題

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タイトル別名
  • Current and Future Issues in the Definition of Learning Disabilities
  • ガクシュウ ショウガイ ノ テイギ ニ カカワル ショ モンダイ ト コンゴ

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抄録

ここ数年、教育制度において学習障害児の存在を明確に位置づけようとする気運が高まり、行政当局も具体的な施策を検討し始めた。しかし、わが国では未だ学習障害の定義および判定基準に関する見解の合意がみられていない。本稿ではアメリカ合衆国における定義の変遷とそれにかかわる問題点を概観し、わが国において検討すべき課題を明らかにした。本稿では以下の諸点が示唆された。1.合衆国においても、各方面より定義の改善が試みられているが、未だ一致した見解に至っていない。2.学習障害と注意欠陥多動障害については、両者を厳密に区別した上で、重複する場合のメカニズムを検討してゆく必要性がある。3.知能や学習達成水準に関する適切な測定方法や手続きを開発する必要がある。4.厳密な基準に基づく研究を進めてゆくことと、併せて学習上に困難を示す全ての子ども達に、適切な教育的援助が提供できるような方策を考えてゆくことが必要である。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 30 (5), 29-40, 1993

    一般社団法人 日本特殊教育学会

被引用文献 (1)*注記

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