P2-060  花粉飛散数増加と連動が見られる感染症は,伝染性疾患か,花粉被曝後のTh2傾斜持続による易感染性誘導がもたらす時差発症疾患か.—花粉惹起(誘導)疾患(PID)川崎病(KD)と対比してみる伝染性紅斑(EI)等夏風邪の発症動向—

  • 粟屋 昭
    皮膚科学疫学研究所(横浜市戸塚区) (独)理研横浜研究所 (独)科学技術振興機構

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  著者は2003年から全身性血管炎・KDはPID (Pollen-Induced Diseases)の1つであり,同時に起こるBCG接種跡腫脹の症状も勘案して,「花粉被曝→免疫→花粉再感作→遅延型過敏反応のゆっくりとした亢進→全身性血管炎発症」の過程を経る疾患であろうと提唱してきており(The Open Allergy Journal, 2012, 5, 1-10, Biomedicine & Pharmacotherapy, 58(2): 136-140, 2004),インフルエンザ流行期に発症が抑制される知見も報告してきた.KDのような重症の疾患に似た疾患また,軽症の疾患の中に,花粉飛散数と連動する疾患を掘り起こす検討を行ってきた.[方法・結果・考察]KD全国調査および東京都定点週報と花粉情報dataを解析した.2011年の花粉飛散数は過去最大であった2005年の93%であった.10年,11年のKD,EIおよび手足口病(HFMD)の患者数は,それぞれ89→124, 2929→3588, 6257→14076と,花粉増加に伴って増大した.09年,10年の発症年齢分布のpeakがKDは最も幼若の0~1歳児で,HFMDは1~2歳児であるのに対して,EIは4~5歳児であった.年間発症patternはEIがKDとほぼ同時期,年間2回の大小の山があるのに対して,HFMDはEIの発症減少期に,発症増大が始まった.2月,3月のEI患者数は4月の花粉飛散数と相関係数が大きかった.EIを発症する幼児はKDやHFMD罹患歴のない子であるか臨床疫学検討を要するが,他2疾患より経年的な花粉被曝等による緩徐な免疫学習が必要で発症までに時間がかかるのかもしれない.<br>

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