P1-2 多量の胸水貯留を伴う胸膜炎を契機に診断に至った肺高血圧症合併好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の一例

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説明

<p>【症例】59歳女性【主訴】労作時呼吸困難【現病歴】X年2月上旬に胸部絞扼感のため近医循環器内科で精査されたが,心電図,心エコーで異常を指摘されなかった.3月上旬より労作時呼吸困難を自覚し,3月下旬に同院を再診し,血算で著明な好酸球増多,炎症反応上昇を認め胸部レントゲン上胸水貯留が疑われたため,当院紹介入院した.また,同時期に左第5指のしびれも自覚していた.【既往歴】気管支喘息【経過】血液検査ではANCA陰性で,体幹部の紫斑の皮膚生検では血管炎はなく,末梢神経伝導検査でも神経障害は認めなかった.一方,CTでは多量の胸水貯留のほかに両側上顎洞に骨破壊を伴わない軟部影を認め,胸水中の好酸球増多も認めた.心エコーでは肺高血圧症が示唆され,心臓カテーテル検査にてmPAP 35mmHgと肺高血圧症合併を考慮した.組織所見で血管炎の証明ができなかったものの,厚生労働省の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の診断基準やACRのEGPA分類基準を参照し,EGPAと診断した.EGPAのfive factor scoreを一つも満たさず,ステロイド単剤内服で寛解導入を行い,漸減後退院とした.【考察】EGPAは好酸球増多を伴い,気管支喘息などの呼吸器症状と血管炎症状を臨床的特徴とするが,胸水貯留と肺高血圧症を合併した例はまれであるため,本例のような経過を辿るEGPA症例は診断に難渋しうる.好酸球増多を伴う胸水貯留や肺高血圧症を認めた場合,EGPAを鑑別に入れる.</p>

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