重症心身障害者の期待に「ゆらし」刺激が及ぼす効果 : 心拍変動を中心に

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タイトル別名
  • Effect of Vestibular-proprioceptive Stimulation on the Expectancy Response in Persons with Profound Retardation
  • ジュウショウ シンシン ショウガイシャ ノ キタイ ニ ユ ラ シ シゲキ ガ

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抄録

20名の重症心身障害者(重障者)において、平衡自己受容刺激(「ゆらし」刺激)を用いて期待反応の生起を促すとともに、「ゆらし」刺激が期待におよぼす効果について心拍変動から検討した。2m前方に設置したスクリーンから実験者が対象者の愛称を呼名すると同時に上半身を呈示し(2秒間)、その後姿を隠して接近し(3秒間)、対象者の眼前0.8mから再度上半身を表し呼名を行うと同時に「ゆらし」刺激を呈示した(S1-S2V条件)。また第2刺激に「ゆらし」刺激を呈示しない条件を設けた(S1-S2条件)。S1-S2条件における心拍反応から対象者は3つの群に分けられた。S1-S2条件において刺激に対する期待を反映した心拍値の減少が記録された対象者ではS1-S2V条件においても同じ成分が記録された。S1呈示後、心拍値の漸増が記録された対象者8名中1名はS1-S2V条件でS1呈示後、心拍値の漸減を示し、2名はS2V呈示前に期待を示すと思われる心拍値の減少を示した。これらのことより重障者において「ゆらし」刺激を人刺激と対呈示することで期待の生起が促されることが示唆された。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 34 (3), 1-11, 1996

    一般社団法人 日本特殊教育学会

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