血管拡張薬としてのセボフルラン

  • 谷 誠二
    三重大学医学部附属病院 臨床工学部 三重大学大学院 医学系研究科
  • 高林 新
    三重大学医学部付属病院 胸部心臓血管外科
  • 小津 泰久
    三重大学医学部付属病院 胸部心臓血管外科
  • 西川 祐策
    三重大学医学部附属病院 臨床工学部 三重大学大学院 医学系研究科
  • 冨田 雅之
    三重大学医学部附属病院 臨床工学部
  • 川野 登志子
    三重大学医学部附属病院 臨床工学部
  • 暮石 陽介
    三重大学医学部附属病院 臨床工学部
  • 宇佐美 俊介
    三重大学医学部附属病院 臨床工学部
  • 行光 昌宏
    三重大学医学部附属病院 臨床工学部
  • 岩田 英城
    三重大学医学部附属病院 臨床工学部 三重大学大学院 医学系研究科
  • 新保 秀人
    三重大学医学部付属病院 胸部心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • Blood pressure control by sevoflurane administration during pediatric cardiopulmonary bypass
  • ―小児体外循環中の使用経験―

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説明

当院では2010年7月より小児体外循環中にセボフルラン(SEV)を末梢血管拡張薬として使用するプロトコールを導入した。末梢血管拡張作用を中心にSEVの有用性を検討したので報告する。対象は体重7.5kg以下の18例で、体外循環(CPB)は灌流量2.7L/min/m2、目標血圧35~55mmHgとし、大動脈遮断中に血圧55mmHg以上にてクロルプロマジン(CPZ)1~3mg/回の間欠投与のみを行ったC群(n=10)と、SEV 0.5~2.0%を併用したS群(n=8)に分けて比較検討した。両群間の体重、CPB時間、大動脈遮断時間、最低直腸温に差はなく、S群のSEV投与開始はCPB開始後25±16分であった。S群のCPZ総使用量は2±1mgでC群の9±4mgより少なかった(P<0.01)。C群のCPZ投与開始時と15分後の血圧には(56±11、52±11mmHg)差を認めなかったが、S群のSEV投与開始時血圧は15分後には低下し(58±6、40±10mmHg)(P<0.01)、その後安定した(20分後42±9mmHg)。CPB中尿量はC群86±93mL、S群206±113mLとS群が多かった(P=0.02)。SEVは体外循環中に適切な尿量を維持しつつ、より早い血圧調節を行い得ることから、小児体外循環の血管拡張薬として有用である。

収録刊行物

  • 体外循環技術

    体外循環技術 39 (2), 132-137, 2012

    一般社団法人 日本体外循環技術医学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (28)*注記

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