中度精神遅滞児の弁別逆転学習における過剰訓練の効果

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タイトル別名
  • Effects of Overtraining on Discrimination Reversal-shift Learning in Children with Moderate and Mild Mental Retardation
  • チュウド セイシン チタイジ ノ ベンベツ ギャクテン ガクシュウ ニ オケル

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抄録

言語媒介機制に違いがみられた軽度(IQ51以上)および中度(IQ50以下)精神遅滞児を対象に、過剰訓練の効果を健常児と比較検討した。過剰訓練条件における過剰訓練量は20試行とし、各被験児群の平均MAは5歳台であった。その結果、中度遅滞児群では過剰訓練により、移行学習の所要試行数が減少し、逆転移行速習者の数が増加した。また、ブロック試行(5試行ごと)における正反応率の変化では、中度遅滞児群でもほとんど誤反応を示さずに移行学習を達成する被験児が多かった。このような傾向は、軽度遅滞児群、健常児群の順に顕著になった。他方、言語報告者の割合では、健常児群は過剰訓練によって適切な手がかり名を言語報告した被験児が増えたのに対し、両遅滞児群では、そのような傾向はみられなかった。以上から、中度遅滞児においても過剰訓練効果があったといえる。それはとくに移行学習事態において先行学習での手がかりの消去を促進する効果があると考えられた。これらのことから、中度遅滞児も非言語性(注意的)の媒介過程の使用が可能になることが示唆された。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 34 (1), 1-8, 1996

    一般社団法人 日本特殊教育学会

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