自動制御人工心肺システムの開発と臨床応用

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説明

【要旨】現在の人工心肺システムでは一定の貯血レベルを維持することが難しく,高度な技術を必要としている。また,術野側から体外循環に関する一切の操作を行うことはできない。我々は新たに,貯血レベルが自動的に維持され,術野側からでも体外循環流量をコントロールできる自動制御人工心肺システムを開発した。本システムは,送血流量と貯血量の調節を独立させた完全閉鎖回路と回路圧力による送血ポンプの回転制御装置,および貯血槽のレベルにより貯血量を調節するポンプを制御する装置により構成されている。このシステムを366例の臨床において使用した。貯血レベルは貯血槽に取り付けたレベルセンサーの位置に自動的に保たれ,貯血量の調整はレベルセンサーを上下に移動することにより容易に行えた。術野側の脱血回路の鉗子操作だけでも体外循環の開始や離脱操作を行うことが可能であった。また機械側で開始や離脱操作を行った症例でも,送血ポンプのツマミ操作だけで行うことができた。本システムにより,従来複雑で不安定だった体外循環が容易かつ安定化することで,体外循環の技術者は広い視野での安全管理が可能になる。

収録刊行物

  • 体外循環技術

    体外循環技術 29 (1), 7-12, 2002

    一般社団法人 日本体外循環技術医学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (7)*注記

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