表面誘電緩和法の開発と市販ゴムシートの油劣化の非破壊評価への応用

  • 石井 真史
    独立行政法人物質・材料研究機構 表界面構造・物性ユニット 表面物理グループ

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Surface Dielectric Relaxation Measurement Technique and Its Application to Non-destructive Evaluation of Oil Degraded Commercial Rubber
  • ヒョウメン ユウデン カンワホウ ノ カイハツ ト シハン ゴムシート ノ アブラ レッカ ノ ヒハカイ ヒョウカ エ ノ オウヨウ

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抄録

表面の新しい分析方法として「表面誘電緩和法」を提案する.従来の誘電緩和測定では接触電極を用いるのに対し,本手法では,本来の表面を維持するために非接触電極を用いる.非接触によってできる間隙に緩衝液を充填することで,電極と表面の間の電気的な結合を確保し,かつ表面上の電荷の分布を均一にする.こうした電気的な安定化によって,下地バルクとは異なる表面固有の誘電緩和を測定することに成功した.このバルクとは異なる電気特性を持つ領域を本法における「表面」と定義し,その特性を議論した.表面緩和スペクトルの表記法として,複素インピーダンスを使った表記と複素キャパシタンスを使った表記について議論した.前者は表面の特性を表すのに対して,後者は表面とバルクの間の電荷移動の特性を表す.本手法を天然ゴムの油劣化の非破壊分析に適用し,表面のカットオフ周波数(複素インピーダンスの実部と虚部が一致する周波数)が,引っ張り強さと比例関係にあることを明らかした.バルクのカットオフ周波数と比較すると,3桁大きいダイナミックレンジで精度よく評価でき,最表面で顕著になった劣化の状態を数値的に示した.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 61 (5), 403-409, 2012

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (9)*注記

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