生物発光を利用した新規バイオアッセイ系の樹立

  • 金 誠培
    産業技術総合研究所つくば西事業所環境管理技術研究部門
  • 長縄 竜一
    産業技術総合研究所つくば西事業所環境管理技術研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Creation of Bioassay Systems Using Bioluminescence
  • セイブツ ハッコウ オ リヨウ シタ シンキ バイオアッセイケイ ノ ジュリツ

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抄録

ホルモンや化学物質の計測はこれまで主として破壊分析に依存した場合が多いが,その生理活性を直接評価できる方法ではなかった.本総合論文では,極めて明るく安定的な発光酵素の樹立と応用に関する研究,その着想と開発に至った経緯を詳述する.また,生物発光酵素を骨格に一分子型生物発光プローブを遺伝子工学的に設計・合成することによって,環境や生体試料中のホルモンや化学物質の活性を迅速・高感度に計測する新技術を紹介する.この手法の利点を実証するために,(1)ストレスや性ホルモン可視化プローブの開発から,(2)発光カプセルを用いたアポトーシス(細胞死)活性の可視化に至るまでの最近の研究例をレビューする.(3)効果的な発光測定のために生物発光測定デバイスの開発とこのデバイスの高いサンプル処理能と多色分光能を用いた女性ホルモンの両面的な生理活性を測定した研究を例示する.このようにホルモンや化学物質の生理活性を迅速かつ定量的に可視化することによって,今後の薬剤候補物質のスクリーニング,内分泌かく乱物質や毒性物質の同定などへの広い応用が期待できる.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 62 (7), 637-644, 2013

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (33)*注記

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