昆虫のフェロモン受容と匂い識別の分子・神経基盤

  • 櫻井 健志
    東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻
  • 関 洋一
    東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻
  • 西岡 孝明
    京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻
  • 神崎 亮平
    東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Molecular and Neural Bases of Pheromone Perception and Odorant Discrimination in Insects
  • コンチュウ ノ フェロモン ジュヨウ ト ニオイ シキベツ ノ ブンシ シンケイ キバン

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抄録

昆虫は自然界に存在する様々な匂いを識別するとともに, 種特異的なフェロモンを鋭敏かつ特異的に検出することができる。このような嗅覚情報は触角上の嗅感覚子内にある嗅覚受容細胞上で発現する嗅覚受容体およびフェロモン受容体により受容される。触角で受容された情報は, 嗅覚系一次中枢である触角葉で処理され, 上位中枢である前大脳 (キノコ体, 前大脳側部) に伝達され, さらなる処理をうけ最終的に特定の行動を引き起こす。近年, 昆虫の嗅覚受容体および性フェロモン受容体の単離と解析から, 一般臭の受容, 識別機構やフェロモンの特異的かつ高感度な受容機構が受容体レベルでわかってきた。さらに, 嗅覚受容細胞からの情報が触角葉でコード化され, 前大脳でデコードされる機構も明らかになりつつある。昆虫の嗅覚情報の受容・識別機構を理解することは, 動物の神経系が複雑な外界の情報を処理し, 環境に適応した行動を起こす仕組みの理解につながるだろう。

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参考文献 (138)*注記

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