内シャント刺入部感染による胸腹部大動脈人工血管感染をFDG‐PETにより診断しえた1症例

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タイトル別名
  • Diagnosis of aortic graft infection by 18-F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography in a hemodialysis patient
  • 症例報告 内シャント刺入部感染による胸腹部大動脈人工血管感染をFDG-PETにより診断しえた1症例
  • ショウレイ ホウコク ナイ シャントシニュウブ カンセン ニ ヨル キョウ フクブ ダイドウミャク ジンコウ ケッカン カンセン オ FDG PET ニ ヨリ シンダン シエタ 1 ショウレイ

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抄録

血液透析歴5年の50歳代男性.原疾患は多発性嚢胞腎.6年前,急性大動脈解離に対し,胸腹部大動脈人工血管置換術の施行歴あり.入院1か月前より持続する38度台の不明熱の精査目的に当院入院.入院時CRP 16.85 mg/dL,血液培養では,MSSAが検出された.胸腹部CTにて大動脈人工血管周囲に軽度の軟部組織増生を認めたが,熱源の同定には至らなかった.FDG-PETにて,胸腹部大動脈人工血管周囲に一致して18F-FDGの異常集積が認められたため,大動脈人工血管のMSSA感染と診断した.入院2か月前にシャント刺入部に膿を形成した既往があったことが判明し,内シャント感染からの波及が原因と考えられた.胸腹部にまたがる大動脈人工血管感染は手術成績が極めて不良で生存例の報告が少ないため,保存的に抗生剤治療を継続する方針とし,退院時には炎症反応はCRP 0.18 mg/dLと軽快した.しかし37度台の微熱は残存し,治療開始2か月後のFDG-PETでも人工血管周囲の集積は持続しているため,今後の抗生剤投与期間等に課題を残している.FDG-PETは従来悪性腫瘍の全身検索のために用いられてきたが,糖代謝が盛んな部位に取り込まれる特性を利用して,感染巣の同定にも有用であることが知られている.透析患者では,免疫力低下のため易感染性でありながら症状が非特異的となることが多く,不明熱の熱源同定が難しいことが少なくないが,透析患者の不明熱診断においてFDG-PETは非常に有用である可能性が示唆された.

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