糖尿病透析慢性心不全に対するレニン・アンジオテンシン系抑制薬の効果

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タイトル別名
  • Effect of renin-angiotensin system inhibitors in diabetic dialysis patients with chronic heart failure
  • トウニョウビョウ トウセキ マンセイ シンフゼン ニ タイスル レニン アンジオテンシンケイ ヨクセイヤク ノ コウカ

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抄録

非透析患者で慢性収縮性心不全に対するレニン・アンジオテンシン系抑制薬(RA系抑制薬)の有効性は確立している.透析治療で,特に心不全合併時は適切なdry weight(DW)維持が重要であるが,心疾患例ではDW設定困難な場合があり,また重症例ほどDWの安全域は狭い.透析導入例における糖尿病(DM)患者の割合は年々増大.DM例においては透析中の血圧低下が多く,特に心不全合併時には透析血圧が不安定性で,DWの設定,維持に難渋する場合がある.このような症例でRA系抑制薬の効果が期待される.しかし,透析慢性心不全におけるRA系抑制薬の検討は不十分である.EF 50%未満のDM透析慢性心不全患者においてRA系抑制薬の有効性を検討した.症例は男性7例,年齢64.4±8.7歳,BMI 22.0±2.9 kg/m2.DM罹病期間10.9±11.4年,HbA1c 6.5±1.6%.DM治療は食事療法2例,経口血糖降下剤4例,インスリン治療1例.透析期間49.7±44.3か月.全例NYHA classII.心疾患はDCM 1例,虚血性心疾患6例.投与薬剤はenalapril 1例,losartan 1例,valsartan 3例,telmisartan 2例.RA系抑制薬は常用量上限を目標として漸増した.目標量に対して到達投与量は82.1±24.9%,投与期間(観察期間)12.6±8.8か月.治療前後で,DWは57.6±7.6から61.5±8.3 kgへ増加したが,CTRは52.3±4.5から48.9±5.3%に縮小した.治療前後でLAD 45.7±6.4から39.7±6.7 mmへ,LVDd 60.9±3.2から52.2±5.5 mmへ縮小した.EFも39.8±8.0から55.0±8.6%に改善した.透析時血圧,脈拍数は変化なし.以上,RA系抑制薬により,DW増加にもかかわらず透析DM慢性心不全例でCTR減少,左心機能改善を認めた.

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