血液透析用血管内留置カテーテル関連感染症の発生率および危険因子の調査解析

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タイトル別名
  • Retrospective analysis of incidence and risk factors for temporal hemodialysis catheter-related infections
  • ケツエキ トウセキヨウ ケッカンナイ リュウチ カテーテル カンレン カンセンショウ ノ ハッセイリツ オヨビ キケン インシ ノ チョウサ カイセキ

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抄録

血液透析実施のためのバスキュラーアクセスを目的として, 一時的に留置された中心静脈カテーテル (central venous catheter : CVC) 関連感染症の発生率を2003年, 2004年の2年間を対象としてレトロスペクティブに調査した. 2年間で延べ439例に533本のCVCが使用され, CVC1本あたりの留置期間の中央値は14日であった. CVC留置後の発熱の頻度は14%であり, 11例にCVC関連感染症を認め, その頻度は1.63/1,000CVC-daysであった. これを留置部位別にみた場合, 内頸部留置時には0.83/1,000CVC-daysであったが, 鼠径部留置時には8.16/1,000CVC-daysと内頸部留置にくらべ9.8倍高く, 鼠径部留置時の感染症発生率 (7.4%) は内頸部留置時 (1.1%) にくらべ有意に高値であった (p<0.001). ロジスティック回帰分析によると, CVCの鼠径部留置がCVC関連感染症 (オッズ比4.98, 95%信頼区間1.34-18.54 ; p=0.017) および発熱 (オッズ比2.87, 95%信頼区間1.55-5.30 ; p<0.001) に対する有意な因子であった. またCVC関連感染症をきたした症例11例すべてにおいて, CVC先端培養もしくは静脈血培養検体のいずれかよりグラム陽性菌が同定されたが, グラム陰性菌および真菌は少数であった. これらのデータをふまえサーベイランスを実施することにより, 有効かつ効率的なCVC管理を行い, さらには透析患者におけるCVC関連感染症の危険因子を明らかにすることが重要と思われた.

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