メシル酸ナファモスタット過敏症を発症した血液透析患者の2例―既報35例との比較

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タイトル別名
  • Two cases of allergic reaction induced by nafamostat mesilate during maintenance of hemodialysis, and analysis of 35 cases reported previously
  • 症例報告 メシル酸ナファモスタット過敏症を発症した血液透析患者の2例--既報35例との比較
  • ショウレイ ホウコク メシルサン ナファモスタット カビンショウ オ ハッショウシタ ケツエキ トウセキ カンジャ ノ 2レイ キホウ 35レイ トノ ヒカク

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説明

メシル酸ナファモスタット (nafamostat mesilate : NM) は出血傾向を有する患者や術後などの血液透析の際に, ヘパリンに代わる抗凝固薬として使用されている. 比較的安全性の高い薬剤であるが, 近年NMによる重篤なアレルギーも報告されている. われわれは, NMを抗凝固薬として用いた血液透析の際に異なった症状のアレルギー反応を示した2症例を報告する. 症例1は54歳女性. ループス腎炎による末期腎不全のため血液透析に導入され, 透析歴は24年であった. 変形性頸椎症の手術前の透析でNMを使用した後に38度台の発熱がみられた. 症例2は64歳女性. 腎硬化症による末期腎不全のため血液透析に導入され, 透析歴は9年であった. 増殖性網膜症に対する硝子体手術後の透析でNMを使用した際にアナフィラキシーショックを発症した. 両者とも過去にNMの投与歴があったが, その際に明らかな異常はみられていなかった. これらの2例と過去に報告された35例を合わせて, 体外循環に関連するNMアレルギーの特徴を検討した. 透析導入の原疾患や透析歴, ダイアライザーなどに明らかな特徴はなかったが, 記載されている限り全症例で過去にNM投与歴があった. さらに, アレルギー症状別に特徴を検討したところ, ショック群では好酸球増多が少ないがリンパ球幼若化試験がほとんどの症例で陽性であり, 発熱群では透析歴が有意に長く, CRPの陽性率が高かった. さまざまな透析の状況で, NMの使用機会は増えているが, 現時点ではアレルギー発症の予測は困難であり, NM使用の際には常に注意が必要である.

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